ご挨拶

第44回日本肥満学会
会長 片桐 秀樹
東北大学大学院医学系研究科 糖尿病代謝内科学分野 教授 片桐 秀樹

2023年11月25日(土)・26日(日)の2日間、宮城県仙台市の仙台国際センターで第44回日本肥満学会を主宰させていただくことになりました東北大学の片桐です。今回も第41回日本肥満症治療学会学術集会(学会長: 石垣泰先生: 岩手医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科分野教授)との合同開催となりました。コロナ禍が一段落した状況を踏まえ、フル現地開催を予定しております。会場は仙台国際センター、仙台駅から仙台市営地下鉄で5分ほどの交通アクセスの良い会場、一か所で、両学会にご参加いただけます。

今回の合同学会の共通テーマを 『叡智の結集で解明と解決に挑む肥満学』とさせていただきました。私は、「肥満学」の魅力の一つは、肥満をキーワードに多くの領域の研究者が一堂に会することと思っています。肥満の成因一つを例に挙げても、エネルギー摂取や消費に関わる各臓器や臓器をつなぐメカニズムなど、代謝学はもちろんのこと、生理学・脳科学・分子生物学・運動学など、各分野の「叡智が結集」することで解明につながると考えられます。本会は、これまでの伝統を継承しつつ、また、新たな学問分野も加わって、「解明」につながる深い多彩な議論が展開される場となるべく、準備を進めています。

最近、体重減少効果のあるいろいろな注射薬・内服薬が上市され、また、開発が進んでいると聞いています。これまでは、内科的には対応が難しかった肥満症に対して、薬物治療の選択肢が増え、有効性が確認されてきていることも、今の肥満学の大きな魅力となってきました。さらに、内科・外科のみならず、さまざまな診療科や医療スタッフの連携による集学的な医療の実践の重要性が増してきています。本会では、日本肥満症治療学会学術集会との合同開催であるメリットを生かし、大きく発展し普及が進む減量代謝改善手術による外科治療と新たな薬剤を含めた内科的治療の両面から、「解決に挑む」議論を深める場となることを目指しています。

さらに、特別講演にはエネルギー代謝に関する臓器連関研究で高名な、フランス国立衛生医学研究所(INSERM)・国立科学研究センター(CNRS)のGilles Mithieux先生をお招きいたします。特別企画、スポンサード・シンポジウム、ワークショップ、教育講演、企業展示や他学会等との合同シンポジウムなどの企画も鋭意、準備中です。ぜひ多くの皆様にご参加いただき、議論を深めていただけますことを心より願っております。

第41回日本肥満症治療学会学術集会
会長 石垣 泰
岩手医科大学医学部 内科学講座糖尿病・代謝・内分泌内科分野 教授 石垣 泰

第41回日本肥満症治療学会の会長にご指名いただきました岩手医科大学の石垣 泰です。2023年11月25日(土)・26日(日)の日程で、東北大学の片桐秀樹先生が会長を務められる第44回日本肥満学会と合同開催の形式で、宮城県仙台市の仙台国際センターで開催させていただきます。両学会が合同で開催されるのは今回で5回目になり、肥満に関連した研究・診療に関する最新の知識を幅広く得られる機会として認知されてきたと思います。今回は合同テーマとして「叡智の結集で解明と解決に挑む肥満学」を掲げさせていただきました。文字通り、国内外の叡智を結集して肥満に関連する諸問題を議論していければと願っております。

肥満に関する研究は、脂肪の蓄積とともに実験動物に生じる様々な変化と、診療している患者の病態を重ねて考えることの面白さを、私に教えてくれました。一方で、患者の動機づけがうまくいかず、治療の手立ても少なかった肥満症診療に、大きな存在感をもって登場したのが減量・代謝改善手術でした。日本肥満症治療学会の特徴は、減量・代謝改善手術を主軸として高度肥満症診療における様々な問題に対して、多分野・多職種の医療者がチームを組んで取り組んでいることにあると考えています。また、日本肥満学会の素晴らしい点のひとつは、狭義の医療者に加えて多くの分野の研究者が、肥満に関わる新知見や課題を学際的に探究していることと思います。日本肥満学会と日本肥満症治療学会の合同開催は、基礎的な研究と臨床面の進歩を融合した形で議論できる恰好の機会であり、今回も参加してよかったと思っていただける会になるよう片桐先生と共に準備を進めております。

日本肥満症治療学会の特別講演として、Korean Society for Metabolic and Bariatric Surgeryの前会長のSoo Min Ahn教授 (延世大学)をお招きし、同じ東アジア人種における減量・代謝改善手術の効果と韓国で外科治療が浸透した秘訣をご教示いただきたいと考えています。国内では減量・代謝改善手術のNASH改善効果に関して、エビデンスが蓄積されてきたことを踏まえ、日本肝臓学会との合同シンポジウムを企画しております。また、肥満に対するスティグマについて、これまでなかった新しい視点からの議論を提起できればと考えております。さらに、各分野のエキスパートをお招きした高度肥満関連健康障害についてのシンポジウムや目覚ましく発展している肥満症治療薬の話題などを通じて、肥満の解明と解決に向けて歩みを進めていきたいと願っております。

東北地方は平均体重や肥満関連健康障害の割合が高いため、地域全体での問題意識の共有が望まれており、本合同学会が肥満症に対する関心を高める機会になればと期待しています。一人でも多くの方々に晩秋の仙台にご参集いただき、実りのある学会を作り上げるために力を合わせていけますようお願い申し上げます。